IFRS適用の方向性

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日本企業におけるIFRS適用の動きは、6月の自見大臣の発言を受けて全体的にストップした。IFRS特需に群がろうとした監査法人やコンサル会社は開店休業となり、落胆ムードが漂う。

例外的に、子会社管理の観点からIFRS導入にメリットの大きいグローバル企業においては、早期の任意適用に向けて目標を変更せずに取り組む企業もあるようだ。

アメリカの動向や、日本国内での論調としては、いくつかの方向性がでてきている。

  1. 全上場企業にIFRSを強制適用
  2. 上場企業はIFRS適用を原則とするが、非適用選択が可能
  3. 上場企業の中でも「グローバル企業」にIFRSを強制適用(他の上場企業は任意適用が可能)
  4. 日本基準としてIFRSを順次取り込み、矛盾する規定を改廃
  5. 日本基準を維持しIFRSに収斂(IFRSの任意適用が可能)

1.が完全なるアドプション、2.3.が非完全なアドプション、4.がコンドースメント、5.がコンバージェンスだ。

 

アドプションを堅持する立場からは、妥協点の落とし所を求める議論がみられる。

2.について、米国SECがいわゆるオプトアウトを認める可能性について議論を行ったとされる(SEC Speech)。

3.について、日本国内でも住友商事の島崎氏が、IFRS強制適用に対する自見大臣の発言をうけて、「IFRS強制適用を行わないことは日本の国益に反し、対象を縮小してでも強制適用という形式を堅持し、国際的にアピールすることが重要」だとする旨の発言を行ったとされる。

 

現実問題として、アドプションは企業にとって不要なイニシャルコスト発生させる。個人的な見解としても、そのイニシャルコストをかけるだけの価値があるかというと疑問である。

いわゆる「グローバル企業」にとっては、海外での資金調達や海外子会社の管理目的といった目に見えたメリットを享受することが可能だ。しかし、そのような目に見えたメリットを享受できない多くの日本企業にとっては、イニシャルコストは不要なコストにしかなりえない。

そのため、いわゆる「グローバル企業」は任意適用で早期にIFRSを導入するとともに、他の企業はコンドースメントにより順次導入されるIFRSを順次適用することで最終的にIFRS準拠性を主張できるようにするべきだ。

そうすることで、多くの企業は、通常の新会計基準の適用として監査法人と相談を行うことが可能となり、不要なイニシャルコストを発生させることもなくなる。

 

もちろん、比較可能性について懸念する声もあるだろう。

しかし、IFRSと日本基準で重要な差異といわれるものはほぼ明確だ。コンバージェンスのプロジェクトの中で早期に改廃されることで改善されるだろう。

重要でない差異については、比較可能性を害することはない。そもそも、IFRSにしろ日本基準にしろ「重要性の概念」には変わりなく、些細な相違は同じ基準の中でも常日頃から起こっているものだ。

 

最後に、常日頃感じるところであるが、日本基準のIFRS化についてばかり議論されているが、IFRSの日本基準化についても議論されるべきだろう。

IASBのサテライトオフィスが日本に設置されることとなり、日本からの情報発信がしやすい状況となっている。

日本基準も悪いところばかりではなく、世界に誇る有為な考え方を持っているものもあるだろう。議論の発信地となってくことが大事だ。

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