IFRS強制適用延期が濃厚に

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早ければ2015年3月期にも強制適用されるとみられていたIFRSについて、金融庁は今月末の企業会計審議会で、強制適用スケジュールを先送りする模様だ。

2月24日の企業会計審議会総会において、古澤企業開示課長は中間報告を取り上げ、「2012年に強制適用を判断する場合には、2015年又は2016年に適用開始」するのであって、「適用の判断以降、十分な準備期間を取る」ことを強調した。

委員からも、「強制適用の判断を待って準備を開始したのであっても十分に間に合うくらいの準備期間を設ける旨の明確なメッセージ」を発信してほしいとの意見が出ていた。

平成23年2月24日企業会計審議会総会議事録

その後、産業界からも「我が国のIFRS(国際会計基準)対応に関する要望書」と題する書面が提出された。

 

IFRS延期を望む 意外な国際優良企業:週刊東洋経済(2011 年 6 月 18 日)

 トヨタやキヤノンなど超優良銘柄がIFRS導入に背を向けた。

 5月25日。三國谷勝範・金融庁長官に「我が国のIFRS(国際会計基準)対応に関する要望書」と題する書面が提出された。

 発信元には新日本製鉄や旭化成など、決算で日本の会計基準を採用する企業だけではない。トヨタ自動車やキヤノン、パナソニックといった、米国会計基準を採用する企業も名を連ねていた。内容はIFRSの導入に反対するのでなく、現場の議論を無視せず意見を聴いてほしい、また強制でなく選択適用とし猶予期間も延長してほしい、という2点に限定されている。

 「2009年6月に企業会計審議会が出した中間報告では、関係者による検討の必要性を指摘していたのに、金融庁は一向に上場企業と議論を始めない。しかも中間報告から半年後に連結財務諸表の附則を変更。16年以降は米国会計基準での開示を認めないことにした。これが米国基準を採用する企業にとって寝耳に水だった」(会計専門家)

 

米国では、SECが、2011年に判断をしたとしても2014年(12月期)は間に合わず、少なくとも1年延期するとの意見を述べている。当該見解を受けて、日本においても、2012年に判断したとして、2015年3月期に間に合わないであろうことは既に言われてきたことだった。

しかし、金融庁はこのことに対して、正式な形のコメントをしないことで、2015年3月期ありきでコンサル会社の営業トーク「今から始めないと間に合わないですよ」という煽りを許すこととなっている。

今回、やっとのことで、明確なメッセージが発信されることとなりそうだ。

 

IFRSの強制適用の要否、日本の企業文化を加味してコストベネフィットにかなうのか、ということの議論がやっとのことで加速していくこととなるだろう。個人的な見解としては、最終的に任意適用のみとなり、強制適用はされないだろうと考えている。

しかし、現時点において、強制適用しないと明確に発信してしまうのはリスクが大きい。それは、IFRS開発への発言力が大きく低下してしまうからだ。日本基準を維持するにしても、コンバージェンスの話は付きまとう。現在進行している収益認識等の大きな論点について合意されるまでは、強制適用の可能性を世界的に発信しておく必要があるのだ。

 

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