減価償却制度の見直し:平成23年度税制改正大綱

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平成23年度税制改正論点の中から、意外と注目度が高い減価償却制度の見直しを取り上げます。

 

■改正内容

平成23年4月1日以後に取得をする減価償却資産の定率法の償却率を、250%償却(定額法の償却率を250%にしたもの)から200%償却へ変更します。

趣旨としては、課税ベースの拡大で、償却速度を主要国並みに見直すこととされています(実質は、課税の前倒し)。

経過措置として、以下の2点が述べられています。

  • 3月31日決算以外の会社について、平成23年4月1日以後開始する事業年度開始日から適用することが認められます。
  • 平成23年3月31日以前に取得した減価償却資産について、当初の耐用年数で償却を終了するように考慮した200%償却に変更できます(要届け出)。

また、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の導入に伴い、陳腐化償却が廃止されます。

 

平成23年3月31日以前に取得した減価償却資産は、原則として、取得時の耐用年数・償却方法・償却率が継続して適用されます。

そのため、定率法の償却率は、3種類になります。

(追記:改定償却率及び保証率は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によって定められており、法案が成立するまで200%償却の改定償却率及び保証率の詳細が明らかになることはありません)

■財務会計への影響 

いわゆる「税法基準」を採用している企業においては、平成19年度改正同様、「法令等の改正に伴う変更に準じた正当な理由による会計方針の変更として取り扱う」ものと考えられます。 

税制改正に際しては、度々、日本公認計士協会から、監査上の取扱いが公表されています。

平成10年度税制改正の際には「平成10年度の税制改正と監査上の取扱いについて」、平成19年度税制改正の際には監査・保証実務委員会報告第81号「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」が公表されており、再度取扱いが公表されることも想定されます。

上記文書では、我が国では、いわゆる「税法基準」による会計処理が、会計実務慣行として採用されてきた経緯があることが述べられており、法人税法に対して企業会計にかかる法令等と同様の性格を認めています。

IFRSとの絡みで、正当な会計方針の変更と認められないだろうとする見解もありますが、IFRSの強制適用は後退気味であることや、また、正当な会計方針の変更と認められないとした場合に企業側の想定可能性が低く、システム対応等も追いつかないと予想されます。

そのため、 平成19年度改正同様、「法令等の改正に伴う変更に準じた正当な理由による会計方針の変更として取り扱う」ものと考えられます。

 

なお、企業が独自の状況を考慮して自主的に決定したものによっている場合には、選択可能な償却方法が増えることとなりますが、定額法→定率法(200%償却)といった類似性すら認められない変更は、会計方針の変更として正当な合理性を説明する必要があります。

 

(参考)

平成23年度税制改正大綱

② 減価償却制度について、平成23年4月1日以後に取得をする減価償却資産の定率法の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.0倍した数(現行2.5倍した数)とします。なお、改定償却率及び保証率についても所要の整備を行います(所得税についても同様とします。)。

(注1)定率法を採用している法人が、平成23年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度において、同日からその事業年度終了の日までの期間内に減価償却資産の取得をした場合には、現行の償却率による定率法により償却することができる経過措置を講じます。なお、その減価償却資産を適格組織再編成により移転を受けた法人も同様とします。

(注2)現行の償却率による定率法を採用している減価償却資産について、平成23年4月1日以後最初に終了する事業年度の申告期限までに届出をすることにより、その償却率を改正後の償却率に変更した場合においても当初の耐用年数で償却を終了することができる経過措置を講じます。

 

イ 「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の導入に伴い、次の措置を講じます((イ)及び(ロ)については、所得税についても同様とします。)。

  • (イ) 陳腐化償却制度を廃止します。

  • (ロ) 耐用年数の短縮特例について、国税局長の承認を受けた未経過使用可能期間をもって耐用年数とみなすことにより、その承認後は未経過使用可能期間で償却できる制度とします。

  • (ハ) 確定申告書等の添付書類に過年度事項の修正の内容を記載した書類を追加します

 

特別償却率を引き下げや、対象を見直して延長

  • 公害防止用設備の特別償却制度
  • 船舶の特別償却制度
  • 関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度
  • 積区域における集積産業用資産の特別償却制度(対象限度額の設定)
  • 共同利用施設の特別償却制度
  • 新用途米穀加工品等製造設備
  • 特定地域における工業用機械等の特別償却制度
  • 医療用機器等の特別償却制度
  • 高齢者向け優良賃貸住宅の割増償却制度
  • 特定再開発建築物等の割増償却制度
  • 倉庫用建物等の割増償却制度

 

特別償却制度の廃止

  • 地震防災対策用資産の特別償却制度
  • 事業革新設備等の特別償却制度
  • 障害者対応設備等の特別償却制度
  • 事業所内託児施設等の割増償却制度

 

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