「財務会計士」の導入、公認会計士制度改定の提示:金融庁

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昨今の公認会計士試験合格者の増加で、就職問題が発生し、金融庁は公認会計士制度に関する懇談会を設置し、9回の検討を経て、中間的な報告として中間報告書が公表された(既にパブリック・コメントの募集期間は終了しており、1月からより詳細な内容や残された論点等が検討される)。

この中では、現行の公認会計士に至る前の段階の資格として、「財務会計士」という資格を創設することが提案されている。

現行の公認会計士は、独占的に監査証明資格を有する者である。しかし、産業界が求める企業内会計士は、必ずしも監査証明ができる者ではなく、非監査サービスや企業内実務を支える実務能力のあるものである。その意味において、産業界が求めるプロフェッショナルは、公認会計士である必要もないが、実務経験のない試験合格者でもないのであり、そこに就職問題に関する需給のギャップがある。

また、この懇談会では「就職問題というよりも、むしろ実務経験の場がなく会計士の資格そのものが取れない」待機合格者が発生していることが問題として、問題意識として確認された。


(Source:「公認会計士制度に関する懇談会」中間報告書の概要について, p.4)

 

(以下の記載は、中間報告書に記載された事項のみではなく、懇談会の議事録も参照している)

現行制度との比較という面では、以下のような点があげられる。

  • 一段階目の試験(短答式に相当)は、会計に関する基礎力の検定試験のようなものとする。
  • 二段階目の試験(論文式に相当)は、一段階目の試験合格後の受験回数制限(2回)を設け、実務経験のない方に一時撤退/就職を促す。
  • 財務会計士(図中の「会計プロフェッショナル」)前の「実務経験」は、現行の「業務補助等」より実務要件を緩和する。
  • 「財務会計士」は、名刺に記載可能な士業の位置づけとし、「公認会計士」とは併記可能なものとする。
  • 三段階目の試験(修了考査)は、質の向上という観点から、合格判定を厳格化し(現状の1,500人よりも減少することも考えられる)、監査証明の専門職として高度化する。
  • 公認会計士になるための「実務経験」は、現行の「業務補助等」よりも実務従事の条件を厳格にし、「財務会計士」取得前後を問わずに加味され、「財務会計士」取得前に満たしていない場合には、追加的に求められる。

 

二段階目の試験に受験回数の制限については、就職問題との関連で以下のような理由が挙げられている。また、実務経験を積むことで、二段階目の試験の受験資格を再度得られる(一段階目の有効期間は10年に延長)。

  • 就職問題に関連して、就職経験なく年齢を重ね受験を続けることによる社会的損失の回避。
  • 就職経験なく年齢を重ね合格したとしても未就職となってしまうことがあることの回避。

 

また、税理士資格との関係については、管轄省庁が異なるとしながらも以下のことが確認されている。

  • 公認会計士試験で1系統2段階という前提の中では、税理士は財務会計士のカテゴリに含まれる。
  • 無条件の税理士登録については、財務会計士ではなく、最終段階の公認会計士に認められる。

 

(参考)関連する議事録(下線は、筆者が置き換えている)

第9回:八田委員「企業に関しての十分な知識を習得されている方ということでの財務会計士と、企業外部の立場での公認会計士という二本立てもありうると、世の中もそういう見方をするのではないでしょうか。つまり企業社会にあまりかかわっていないということで、外から専門に監査に関わる会計士と、企業の中にいていろんな事業活動にも精通しているというのがもしあれば」

第8回:廣本参考人(公認会計士・監査審査会常勤委員)「学生が何回も何回も試験に落ちながらなかなかそこから抜けられなくなる状態に陥るのを見てきましたので、こういうイグジットの制度があるとそれは厳しい制度だけれども本当のところ優しい制度になる」

第8回:八田委員「未就職問題が社会問題にも近いような形で取り上げられているために、その辺は解決しなくてはならないとなってくると、・・・私は新司法試験が回数制限をしているということで、あれも同じように試験が人生のすべての目標ではなくて、それは一つのステップであって、それを経た後しかるべき役割を社会的に担ってもらいたいということから、余力を持ってその道に参画すべきであるということであるとするならば、実年齢というよりもその試験合格のための準備期間というのはある程度集中的に、あるいは限定せざるを得ないのかなという気がしています。」

第8回:八田委員「一段階というのはかなりの数を出して、それに資格称号も与えるというわけですけれども、基本的にこれは能力検定試験だというような意味合いが非常に強いわけですよね。私は、二段階、三段階の試験に進むときに、適正な人をだんだん見ていくという形では一段階が適性試験的なもの、能力検定試験的なものがあってもいいと思います。」

第8回:土本参事官 「一発合格いわゆるゼロ年での合格というのが内定率が非常に高くて、1年目まで高うございます。2年かけて合格という方になりますと40%を割り込むということで、ここで随分と就職のしやすさが変わってくる」

第7回:増田委員「公認会計士の実務要件は、少なくとも現行の実務従事の要件を厳格にしてもらいたいというようにしませんと、・・・監査の経験がない人が非監査業界における経験を幾ら積んでも監査ができる会計士にはなれないわけですから、その辺は今の実務従事の条件は厳格に適用してもらいたい」

第7回:八田委員「一段階、二段階の試験と実務という3点セットが終わって財務会計士になるということですが、・・・恐らく学生諸君は一気に試験だけ終えたいという、当然そういうふうに思う・・・今回の懇談会のスタートに論点が2つあって、1つは未就職問題をどうやって解決するのかということ。そのために早い段階で職についてもらい、職についていれば、その後試験にドロップしても生活はできるだろうという仏心があってやった・・・それが蒸し返されてきちゃっている」

第7回:土木参事官「公認会計士の質の向上や実務補習上どうしても昼間働きながら勉強に来るということで、人間ですので夜は結構疲れている、一定の緊張感を与えるというのもありまして、修了考査あるいはこれを三段階目の国家試験とするのも案として出ておりますが、この合格率、これが現状今70%ですけれども、これをもう少し引き下げてはどうかと。これをやりますと、結果的に、現在会計士として登録できる者というのは、年間1,500人ぐらいなんですが、これが減少するということになります。」

第7回:土木参事官「現状の公認会計士の制度あるいは税理士の制度では、公認会計士あるいは公認会計士の資格を有する段階で税理士の資格が得られるということでございますが、現在の事務局のたたき台では、公認会計士の資格が得られる段階で税理士登録ができるということを想定」

第6回:島崎委員「財務会計士は何らかの名刺に印刷できるような資格を与えることが有意義である・・・論文試験と一般企業での実務経験を経た段階で財務会計士資格を付与して、監査業務を行わない財務会計士というオプションがあってもよいのではないか・・・このような制度設計によって、体系的に会計理論・知識を習得し企業で活躍したという会計プロフェッショナルの底辺の人口拡大を促進して、それは結果としてこの日本の会計のレベルの向上に資すると、こういうことにつながってくるのではないか」

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